Aromahausかすみ屋

福岡市中央区大名の隠れ家アロマサロン
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イタリアのオーガニック研修旅行レポート〜農業共同体"アグロナトゥラ"での有機農業体験

エステティック・ジャーナル 第367号(2008年10月25日)掲載
     

2008年6月、イタリアのオーガニック農業共同体であるアグロナトゥラを訪問するツアーに参加した。1986年に設立されたこの農業組合には約50軒ほどの農家が加入しており、ピエモンテ州スピーニョ・モンフェラートにて最も厳格な有機農法と言われるデメター農法を実践している。 そこを訪ねて精油の蒸留を見学したり畑の除草を手伝ったりして、有機農業を体験することを目的とした研修旅行である。

ドイツのPrimavera Life社及びその日本総代理店である潟買Bーゼの共同企画のため講師はドイツ人、当然セミナーはドイツ語で行われ、たまにどこの国に来ているのかわからなくなったものだ。 時にはイタリア語⇔ドイツ語の通訳さんを交えることもある、実に国際色豊かな旅だった。

私は以前からオーガニックの作物がどのように作られているのかに興味があり、自分の目で確かめたいと思っていた。 アロマテラピーを学んでいても原料植物に触れる機会は多くない。液体となって遮光瓶に詰められている精油が全てなのだ。 大抵のスクールでは精油の人体に対する働きのみに重点が置かれ、後は学名や蒸留法などを「知識として」覚える程度である(往々にして試験のためだけに)。

どこでどんな風に育った植物で、どのようにして精油になっていくのかは大変重要なことだと思うのだが、それらを体験できるチャンスは少ないのだ。

   

宿泊したカッシーナ・ボゼッティは農家の建物を改造したアグリツーリズモと呼ばれるタイプのホテルである。

小高い丘の上に建ち、周囲にはラヴェンダーやブドウの畑が広がっている。勿論それだけでなくタイム、ローズマリー、ヤロウ、タイム等のハーブもそこら中に自生しているという贅沢な環境だった。普段は朝寝坊の私も毎朝5時に起きて散歩を楽しんだ。 研修では精油の蒸留工場を見学したり、ローズマリー畑の除草をしたりとここには書ききれないほど素晴らしい体験がたくさんあったが、世界最大のラヴェンダー畑への訪問をはずすわけにはいかない。

今年は異常気象に見舞われて少し前まで雨が降り続いたため、ちょうど満開のラヴェンダーを見られるという幸運を得た。刈り入れにはもう少し時間が必要とのことで見学にとどまったが、美しい紫色の絨毯と風に乗って漂う爽やかな香りはなにものにも替えがたい思い出となった。

異常気象のもたらした幸運はもう1つある。やはり開花の遅れていたバラの摘み取り体験ができたのだ。全員大喜びだったのは言うまでもない。園芸種よりずっと小さいRosa centifoliaの花を丁寧に摘みとりカゴに集めていった。まだ試験栽培の段階なので精油の採取には至っておらず、芳香蒸留水として出荷されるのだという。

   

思いがけない花との出会いもあった。バチカン市国の国花となっているマドンナリリーというユリである。 古来より聖母マリアの純潔の象徴とされ、ダ・ヴィンチの「受胎告知」をはじめとするさまざまな宗教画に描かれている花だ。 現在はほとんど流通していないが、昔はこのユリから精油が採取されていた。 プリマベラ/ナチュラルバランスシリーズのアイクリームにはこの花のエキスが使用されている。

出会いは偶然で、散歩の途中通りかかった民家の庭に咲いていたのだ。我々がフェンス越しに写真を撮ったり香りを確かめているの見た民家の方がいとも無造作に折ってくださったのである。

見ず知らずで言葉も通じない外国人へのこのような親切はなかなか真似できるものではない。どうお礼の気持ちを表していいかわからず、ひたすら「Grazie(ありがとう)」を繰り返していたように思う。 ホテルへ持ち帰ったところこれがマドンナリリーだと教えられて驚いた。日本では栽培が難しくあまり見ることができない。ドイツではデメター栽培されているそうだが見学が難しいのだという。 綺麗で香りのいいユリをもらっただけで嬉しかったのに、それがこのように珍しいものだと知って感激もひとしお、忘れられない思い出のひとつである。

残念ながら私の住む福岡市ではオーガニックへの関心がそれほど高いとは思えない。詳しい方は詳しく、関心をもたなければほぼゼロというように両極端な印象を受ける。 食物に関してでさえそうであるから化粧品についてなど何をかいわんやだ。しかし東京などの大都市とは違ったペースではあっても、昨今の社会情勢を受け安全性への関心が高まっていくことと思われる。

これからは消費者も知識を持つことが必要だ。その自覚を促し、手助けができるようになりたいと思っている。

ブログでのレポートをお読みいただいていた方にはあまり代わり映えのしない記事だと思います。 本当に概略だけなのですが、これでも文字数制限をオーバーしてしまいました。編集の方、ご迷惑をおかけいたしました。
webアップにあたり編集しましたのでレイアウトは掲載紙と異なります。文章はほぼ同じですが、ほんの少し修正した箇所があります。写真も同様ですが、筆者写真だけは諸事情により(笑)カットしています。