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やはり気をつけて欲しいです、薬局方のハッカ油
ハッカ油はどのようにして作られるのか

ハッカ油のお話の続きです。
結晶化してメントールを分離する過程が面白そうで実際に見たくてたまらなくなり、せめて作ってるところの動画がないかな、と検索していましたら全然違うものが山のように出てきました。

youtube 「ハッカ油」での検索結果

ほとんどの動画で半裸のお兄ちゃんがヒイヒイ言ってます…。ハッカ油を使いすぎて悶絶という失敗談がネットに溢れているようですが、それを配信すれば笑いが取れると考えた人たちが体を張ってるわけですね。
ためしにいくつか観たんですがこっちが情けなくなりました。私が母親だったら乱入してぶん殴ってます(「探偵●イトスクープ」の「ア●ヌの涙」編はつい笑ってしまいましたけれどね…)。

お風呂での大量使用が一番多いようですがそれだけではあきたらず体に塗ってみるとか飲むとか…。「どんだけ口に入れても大丈夫なもの」じゃないよ!そんな使い方想定されてないから!!!タバコにハッカ油ぶっかけてメンソールタバコって!危険物第四類なんだから火気厳禁だよ!パッケージ読んでないのかよ!!!あと、「ハッカアブラ」と発音してる奴も多かったけど、「ハッカユ」だからな!どうでもいいだろうけど!

もうこっちの血圧が上がりそうなので本題に入ります。ハッカ油の成分ってどうなっているのかのお話です。

ハッカ油の内容成分は主成分のl(エル)-メントールの他にメンチルアセタート、l(エル)-メントン、1,8-シネオール、リモネンなどで構成されてるのだそうですが(詳しくはこちら)、l-メントールが30%以上、という以外、どの成分がどのくらい入っているのかがわかりません(探しても出てきません)。

問題になるのは、l-メントン等の「ケトン類」と呼ばれる成分です。神経毒性流産をひき起こす作用があるので気をつけなければならないのです。このケトン類を多く含む精油は3歳未満の乳幼児、妊婦、授乳中の産婦、年配者、癲癇患者への使用は禁忌とされています。
血圧を上げる作用がありますので、高血圧症の場合は長期間にわたり広範囲に使用してはいけません。もちろん健康に問題のない成人であっても慎重に使用しなければならないことは言うまでもありません。

Menthone

ナード・ジャパンのケモタイプ精油辞典(Ver.8)に掲載されているアルベンシスミント精油(前エントリの「取卸油」と同じ状態のもので、アロマテラピーの精油として販売されている)の成分比率はこんな感じです。

  • モノテルペンアルコール類(l-メントール) 60~80%
  • ケトン類(l-メントン) 5~15%

これだけケトン類が入っているので、当然上記の禁忌が適用となります。
ハッカ油の場合はここからl-メントールが半分以上取り除かれてしまうわけですが、取るのはメントールだけなので他の成分の量はそのままです。それどころかメントールが30%くらいにまで減ってしまった分、単純に考えてメントン(ケトン類)の比率はもっと上がっている、とみて差し支えないんじゃないでしょうか。もちろん正確な分析票がない以上断言はできないのですが。

従って、ハッカ油はペパーミント精油同様かなり使用に注意が必要なものという結論になります。価格が安い分使用量に関するハードルが低くなりがちな傾向があるので見ていて怖くてたまりません。
基本的には上記の禁忌をしっかり守り、くれぐれも使いすぎには気をつけましょう。

前にも書きましたが、発売元が想定している使い方は「矯味・矯臭剤」としてであり、一度の使用量は本当にほんのちょっとです(またそのくらいの少量でも十分効果を発揮します)。健康な成人ならまあ安全だろうというレシピを記事にしていますのでこちらも参考にしてください。

飲むのはとにかくやめてください。ケトン類の摂取で最も危険度が高いとされるのが経口摂取です。皮膚がバリアの役割を果たすので、皮膚塗布がもっとも安全な方法とされていますが限度があります。それに使いすぎると皮膚を荒らします(これはケトン類の仕業じゃないですけれど)。

夏場の害虫対策にハッカ油を使われる方もおられるようですが、一箇所で強く香らせるようなことは止めてください。吸入の場合は皮膚塗布より毒性が高くなっています。ネズミ忌避剤として使われたハッカ油を吸入したことにより肺炎を起こしてしまった例が報告されています。

もし誰かがむちゃくちゃな使い方をして大きな事故になってしまったら。
危険なものとして規制されてしまい、現在のようにお手軽に買えなくなってしまうかもしれません。今のいびつなハッカブームを見ているとその可能性はかなり高いような気がしてならないのです。

ハッカ油はいろんなことに使えるとても優秀な素材ですから、ずっとこのまま気軽に買えて気軽に使える存在であることを私は心から願っています。
そのためには皆さんの協力が必要です。難しいことではありません。きちんと用法容量を守って、身近な人にそれを伝えていってくださるだけで良いのです。どうか力をお貸しください。

長くなってしまいました。できるだけ読みやすくまとめようと頑張りましたが、目的を達成できているのか不安です。わかり辛い部分がありましたらお気軽にどうぞ(コメント欄はスパムが多くて閉じてしまいましたのでお問い合わせフォームからお願いします。すみません)。

できればこんな閑古鳥ブログじゃなくて、もっと影響力のある人に注意喚起してもらえたらと思うんですけれどね。どなたかいらっしゃらないものか。雰囲気だけのオシャレエッセイはもうお腹いっぱい。

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(念のためしばらくこちらからもリンクしておきます)

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前のエントリの続きです。

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ハッカ油の原料となるミントはアルベンシスミント(和種ハッカ)Mentha arvensisと呼ばれます。
乾燥したものを蒸留してアルベンシスミント精油を得ます。これをハッカ油の業界では「取卸油」と呼ぶらしいです。
多くのミントの主成分はモノテルペンアルコール類のl(エル)-メントールですが、アルベンシスミントはその含有量が最も多く、この「取卸油」の状態だとメントールが全体の60~80%を占めます。ちなみにペパーミントMentha piperita精油は30~50%です。

l-Menthol

次にこの取卸油からメントールを結晶化して分離します。冷却するとメントールが固まるので、さらに遠心分離機にかけるなどの処理を行い、固形物と液体に分けます。
精油から一部の成分を固体にして取り出す、というのは樟脳作りのプロセスとも共通しますね。

こうして採れた固形物(結晶)が「ハッカ脳」や「メントール」などと呼ばれるものです。「メントールクリスタル」とか「クリスタルペパーミント」という商品名もあるようですね。純度の高いメントールなので、調剤や食品添加物などに使用されるようです。最近では石鹸づくりの材料としてまとまった量を扱うショップさんも見かけます。

この工程の説明はごくごく簡単なものですので、もっと詳しく知りたい方は下記サイト様をご覧ください。
精製方法(東洋薄荷工業)
栽培と抽出(北見ハッカ通商)

このハッカ脳(メントール)を分離した残りの液体(精油)が私たちの知る「ハッカ油」というわけです。
メントールを分離した後、と言っても全部取り去ってしまったわけではありません。30%くらいはハッカ油中に残っています。もともと全体の60~80%くらいだったメントールの量が半分くらいになったわけです。

またここで一旦切ります。作用と禁忌については次のエントリで触れたいと思います。

続きました→ハッカ油の成分、安全性について

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しばらく前に書きました、注意して使いましょう、ペパーミント精油(一番最後の記事のみにリンクしています)というエントリの続き的なもの。

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今回はペパーミント精油ではなく、ハッカ油のみに的を絞ったお話です。

だいぶ前に図書館に予約していた本がようやく届きました。手作り石鹸ブームのはしりとなった、お風呂の愉しみの作者前田京子さんが書かれたハッカ油の本です。ちゃんと数えてないけど予約してから数ヶ月待ったと思います。すごい人気なんですね。


はっか油の愉しみ

実用書ではなくエッセイ集です。まあ発行がマガジンハウスですから。ささーっと読めます。数ページ~十数ページのエッセイの後に、文中のハッカのクラフトのレシピがついているという感じ。

長いことやってるとついこういう本には点が辛くなってしまいますが、正直言ってそれほど目新しい知識があるわけでなし、レシピの方も日常でアロマテラピーを実践している人であれば作ったことがある、もしくは思いつきそうなものがほとんどです。

禁忌についての記述もとてもおざなり。後ろの方に申し訳程度に触れてるだけ。まあアロマの専門家じゃない方に詳細な知識を求めてもなあ、とも思いますが、レシピの入った本を出す以上安全性について伝えるのは義務だと思うのですけれどね。真似した人になんかあったらとか考えないのかな。

まあ、その辺を気にせず眺めてる分には楽しい本です。私もいくつか試してみたいレシピがありましたし。アロマ初心者でハッカ油を使ってみたい、という方には役立つんじゃないでしょうか。前田京子さんのステキ生活の一端が覗けますしね。かなり無理のある褒め方で申し訳ないですが。

ハッカ油は安価な分、使用量に関するハードルが低くなりがちな気がします。安いからなくなったらまた買えばいいさ、とついつい使いすぎてしまうパターンが容易に想像できてしまうのです。

そもそもハッカ油とはどんなものなのか?
ペパーミント精油と同じように使っているけど実際にはどのように違うのか?
調べてわかったことを少しずつ書いていきたいと思います。長くなりましたので一旦切ります。

続き書きました。
ハッカ油はどのようにして作られるのか
ハッカ油の成分、安全性について

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舞鶴公園(福岡城址公園)の梅園にいってきました。
ここの梅園はお正月を過ぎたら少しずつ花をつけ始めるので、それからスギ花粉が飛び始めるまでが私の梅見シーズンです。

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暖冬なので例年より咲いてはいましたが、まだ蕾の方が圧倒的に多いです。
訪問したのが夕方近くだったので、あまり写真のうつりがよくありません。

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咲いているのは紅梅が多かったです。開花はしていないものの膨らんでいる蕾も多数見かけましたので、来週には白梅も楽しむことができるでしょう。

梅の香りについて検索していましたらこんな記事を見つけました。2010年のニュースリリースなのでちょっと古いですけれど、花王のが独自技術による梅の花の香りの分析結果です。


紅梅と白梅で成分がずいぶん違うんですね。
紅梅はスパイシーなんだ…。今度行った時は意識してみよう。
そして朝の方が香気が高いんですね。早起き苦手なのでちょっと辛いですができるだけ頑張ってみます。

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白梅の香りの主成分の一つ、ベンジルアセテート(酢酸ベンジル)C9H10O2はこんな構造式です。NARDのケモタイプ精油辞典(Ver.8)ではエステル類に分類されており、抗疼痛作用、鎮静作用、β-エンドルフィン作用などの固有作用があります。精油ではイランイランやジャスミンなどに含まれます。フレグランスの素材としてもポピュラーで、調香の勉強をしていた際にもよく使用していました。

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前の記事で心配していた通り元気がなくなってきたチェッカーベリー(ウインターグリーン)の苗を思い切って鉢に植え替えました。冬が植え替えの時期でないことは承知していたんですが、どうしても見ていられなくなって駄目元での決行です。なんとか保ってくれると良いのですが。

ウインターグリーンのことを調べていましたら、サロンパスで有名な久光製薬さんのサイトでこんなページを見つけました。1934年当時と現在のサロンパスの原料比較です。クリックすると久光さんのページ(pdfファイル)に飛びます。

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これを見ますと、昔は「シラタマノキGaultheria pyroloides」というツツジ科の植物からサリチル酸メチルを採取していたんですね。学名から言ってもウインターグリーンGaultheria procumbensの近い仲間と考えていいんだろうと思います。ウインターグリーンが赤い実なのに対し、この植物はその名の通り白い果実をつけるそうなので、機会があったら是非見てみたいものです。

さて、ウインターグリーン精油は「アロマテラピー」という言葉から多くの人が連想する「癒される」とか「リラックスできる」香りとはかなりかけ離れたものであり、初めての方はビックリされることも多いのですが、同時に嫌う人があまりいない香りです。長いこと湿布の香りとして身近にあったので、無意識のうちに親近感を抱いておられる方が多いように思います。

日本ではさすがに浸透が難しいようですが、飲食物の香り付け(フレーバー)として使われていることさえあります。かなり昔ですがブログに書いたのでリンク貼っておきますね。お時間ある方はどうぞ。
ウインターグリーンフレーバー/カスミヤニッキ(旧)
ウインターグリーンフレーバー その2/カスミヤニッキ(旧)

自分でも久しぶりに読み返してみて、ルートビアで思い出しました。私の妹は沖縄にしばらく住んでいたことがあるのですが、引っ越したばかりの頃義弟(妹にとっては夫)から「黒ビール風のノンアルコール飲料でランチにぴったり」と騙されて飲まされたという苦い経験があるんだそうです(米軍基地がある沖縄ではポピュラーな飲み物らしいですね)。料理によってはランチに飲んでも合わないわけじゃないでしょうが、ビールっぽい味を期待していたらまあビックリしますよね。

で、それをずっと根に持っていた彼女は翌年遊びに来た私を同じように騙して溜飲を下げようとした(酷いヤツですよね)のですが、アメリカでルートビアのソーダフロートを食べたことのあった私にもくろみはあえなくついえたという…。悔しがる妹にアホかこいつと呆れたのもウインターグリーンにまつわる記憶のひとつです。

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少し前にフェイスブックにも掲載した写真です。
最近お花屋さんでよく見かけるようになった「チェッカーベリー」の苗を買いました。ヒメコウジ(姫柑子)という和名を持つ植物です。かわいらしい赤い実はクリスマスにもお正月飾りにも映えますから、花の少ないこの季節に長く楽しめます。


チェッカーベリー/ホワイトスクエア

アマゾンにさえあったりします。
私が買ったのはこんなにお高くはないんですけれどね。

購入の動機は赤い実がかわいいからだけではなく(それも大きいんですが)この植物がウインターグリーン(Gaultheria procumbens)精油の原料となるからです。お花屋さんに出回っているものは園芸用に改良されている可能性もありますから「ウインターグリーン精油を採る植物の仲間」と呼ぶのが正確なのかもしれません。しかし葉っぱをちょっと破ってみるとやっぱりあの湿布薬の香りです。

ウインターグリーン精油が筋肉痛などの痛みをとる精油として有名ですが、成分のほとんど(95~99%)がエステル類のサリチル酸メチルというとてもシンプルな構造をしています。

では精油を採取した後のハーブウォーター(芳香蒸留水)はいったいどんな感じなのか?とても興味があるのですが、たくさん育てて自分で蒸留してみたいという願いは適いそうにありません。実はこのチェッカーベリー、かなり育てにくい植物のようなのです。

写真は苗を購入した11月始めのものなのですが、現在はかなりの葉が茶色くなっていってしまっています。小さいポットなのが良くないのかとも思いますが、冬は植え替えのシーズンではないようなので、強行して枯れてしまったらと怖くて手をつける気になれません。水を切らさないようにしてなるべく日に当てることくらいしか今はできないでいます。

園芸サイトさんでは「上級者向き」と書かれているくらいですので、サボテンさえ枯らす園芸下手の私の手に負えるわけないのかも…、と諦め気味です。一応がんばってはみますけど。

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今年は私の不在中にキンモクセイが満開に!というこれまでにないピンチだったのですが、母のおかげでなんとか収穫できました。

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先週、ナードアロマテラピーセミナー出席のため大阪にいた私に母から電話があったのは金曜の夕方、1日目の講義の終了間際のこと。
もう庭のキンモクセイは満開になっている、私の帰りを待っていたら盛りが過ぎてしまうので今から収穫する、花を集めた後の処理はどうすればいいかと言っています。いやいややっぱり帰りを待っててよ、と慌ててしまったのですが時は遅くすでに枝は切ってしまったとのこと(1人で鋸ふるう後期高齢者逞しき哉)。これはもう花を採るしかありません。
母はこれまで散々私の手伝いをさせられてきましたから花の集め方は知っているんですが。そこから先は私がサロンに持ち帰ってからやっていたため見たことがないのです。

こんなことならあらかじめ必要なものを預けておくんでした。そもそも毎年可能な限りキンモクセイの開花に合わせてスケジュールを調整しているのに、よりによってほんの1日2日不在の折に咲いてくれるとはなんてことでしょう。わたし何か悪いことしたかしら。ああしてるわ一杯(なぜか自己完結)。

で、翌日で構わないので出来るだけ早く無水エタノールを買ってきて花を浸すこと、それまでは密閉して冷蔵庫保存してほしいと頼んでおいたのですが、エタノールを買ってくるまでは良かったものの、「浸す」ということがいまいちピンとこなかったらしい母は結局私が日曜に実家に帰るまで花を冷蔵庫保存のままにしていたのでした(無水エタノールはきっちり買っておいてくれた…)。まあやったことのない人にそこまで求めるのは無理かもなあ…。

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というわけで今年のキンモクセイチンキは2日間ほど冷蔵庫で眠っていた花で作ることになりました。

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翌朝もう少し収穫作業をしました。実家でのキンモクセイの収穫は枝の剪定も兼ねていますので、育ちすぎた大枝をばっさり切ります。もちろん私の役割です。

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一番いい時期は過ぎていたものの、まだ強い香りを放っています。これも瓶いっぱいに収穫しチンキに漬け込みましたので、そこそこいい香りが出るのではないかと期待しています。

さて、今年のキンモクセイ香水は1年寝かせた去年のチンキで作りますからまずは濾すところからです。
次回記事でその模様をお届けしますね。

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... "キンモクセイ摘みました" を続けて読む

前3つのエントリの後書き的ななにか。

もともとこのこの文章を当時のブログにアップした際には「書かねばなるまい。本当はもう触りたくないんだけれど」と題していました。なんだそのやる気なさげなタイトルは。触りたくないんだったら触るなよと言われそうですがまことにごもっとも。書いた本人ですらつっこみたくなってしまってますから。

それまでにもいくつかマルチアロマの疑問点について書いてきていたのですが、当時は少しばかり葛藤を抱えておりました。
自分は何も他を(ここではマルチアロマを)こきおろしたくてセラピストになったわけじゃない、できるならブログでは精油の素晴らしさ、アロマの楽しさのみを熱く語って過ごしたい、ただこの問題に関してはアロマテラピーを伝える者として見過ごすことができない。どうしても発言しなければならないと感じるから書いているが、しかしそのことにより「厳しい」「うるさい」「怖い」などのレッテルを貼られてしまう。零細サロンゆえ大して目立ちはしなかったけれども時には嫌がらせめいたものもある。そのことにうんざりしてきていたのです。

推測ですが、マルチアロマに批判的なブログをアップされた他の方々もこれに近い悩みをお持ちなのではないかと思います。何かを批判するのは褒めるよりずっと大変なこと。気も使いますし、コメントなどの反応にも対応しなければなりません。表に出ない形での嫌がらせを受けた方も多分いらっしゃるはず。
マルチを批判したって得になることは何もないのに、それでも発言してくれる方がいらっしゃることはとても心強いです。

あ、良いことないと書きましたがまったく無いわけではありません。「ここなら絶対にマルチの商品を勧められることがないと思って」とご来店くださるお客様がいらっしゃるのです。「口うるさくて性格悪い」(まあ事実なんですけれどね)みたいな印象を持たれてしまうのだろうと覚悟していましたので、そういう面で信用をいただけるとは思っておりませんでした。本当に嬉しいことです。

マルチ商法に限らず、この世界にはおかしな商売がとても多くその根絶は多分できないだろうと思います。いかがわしいものから身を守るには、きちんとした知識を身につけ、怪しいものに流されない強い意志が重要です。シンプルなことですが実践するのは意外と難しいのかも知れません。

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(前のエントリの続きです)

加えて、マルチアロマの会社の精油にはロットごとの成分分析表が添付されていないという事実にもひっかかるものを感じます。検索していたら「成分分析はしている。すばらしい結果が出ているそうだ」という主張を見つけましたが、それが事実であったところでエンドユーザーにフィードバックされないのだったら意味ないと思いませんか。

通常、精油に分析表をつけない理由は「分析すること」そのものにけっこうなお金がかかるからと聞いています。それによって精油の代金が跳ね上がることを避けるために、あえて分析していないメーカーもあるようです。しかしすでに分析をしているのにその結果をユーザーに知らせないのは何故なんでしょう。
どっかで「食品添加物として許可とってるから分析表はいらないんだ」って珍説が出てましたがwww どういう理屈なんでしょうか。笑うとこなんでしょうか?ここ。

そして曲がりなりにも成分分析の重要性を学んだ者にとって、ろくに内容成分のわかっていないものを体に取り入れる(しかも飲んだり塗ったりしてけっこう大量に)という行為は戦慄を覚えるものでしかありません。別に私は分析表至上主義(とっさの造語ですがニュアンスはおわかりいただけるかと)というわけじゃないんですが、こんなにたくさん使うんだったらやっぱり分析表がないと駄目でしょう。

さて、ここで改めて「精油」についての定義づけをしておきます。

精油(エッセンシャルオイル)とは植物の有効成分を蒸留、圧搾などの手法で抽出した有機化合物で、多種類の天然の化合物を高濃度含有するもの。含まれる物質(成分)の種類により香りや作用が異なる」
言い回しの違いは多少あれど、私たちはこのように教えられてきました。

マルチの会社では、自社の精油が「植物の生育環境にこだわり」「抽出法にこだわっている」、だから高品質なのだ、と主張しています。でもその「こだわり」としてアピールされている製法は別にごく普通のことで、他の会社にくらべて特にすごいことをしているとも感じられません。もちろんネットで調べられる範囲のことですから、実際に農場や工場を見学したらその素晴らしさに「目覚める」可能性もゼロとは言いませんがw。って言うか見せてくれないってば。会員でもないのに。批判しまくってるのに。

それに本当に高品質(私は信じてませんが)だとしてもちょっと待ってください。
高品質=原液塗布や飲用が可能、ということはありえません。
モノが「精油」である限り。

つまりどんなに最高級のものであっても精油は精油なんです。上記の定義の通りすごく「濃い」ものなんです。安全な成分だけでなく、中にはデメリットのある成分を含んでいるものもあるのです。どんなに高品質といわれるものであっても、一部を除いてそうそう手軽に原液での塗布や飲用ができるものじゃないことに変わりはありません。

精油化学を学べば学ぶほど、精油の使用量には慎重になっていきます。三上杏平先生のセミナーでも「濃度が重要。薄くても十分作用する成分があるので注意が必要」「1%でも濃すぎの場合があるんじゃないかと思う」というお話がちょくちょく出ます。

精油化学にそれほど詳しいと思えないマルチアロマの「セラピスト」が原液で大量に塗布でき、そして飲用もOK、なんてものがあったらもはや私たちの定義する「精油」とは別のものです。「セラピー等級」なんて冗談としか思えないのです。「精油」でこんなことをやっていたらいつかは事故が起きるのではないかと心配でなりません。表沙汰にならないだけでもう起きているかもしれません。

以上がマルチ商法のアロマテラピーが好ましくないと私が考える理由です。
個人的な見解と最初に書きましたが、ある程度勉強をしてきた人ならば誰でもたどり着く結論ではないかと思います。

(あと一回で終わります)

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前のエントリからの続きです。

原液塗布をやるマルチアロマの会社では「フランス式アロマ」をうたっているようですが、その理論は私がナード・ジャパンで学んだ、フランスやベルギーで実際に行われているアロマテラピーとは大きく違い、いわば「アメリカ式アロマ」とでもいうべきものです。いや、多くのマルチの本社がある「ユタ州式」ですかね。というかシンプルに「マルチ式アロマ」でいいですね。

フランス式のメディカルアロマテラピーでは確かに精油濃度の高いレシピが存在し、場合によっては原液も使いますが、症状のある部位のみへの塗布でありそれもほんの少量(数滴程度)です。不調のある特定部位にスポット的に使うものであり、状態がよくなれば使用をやめます。

従ってマルチの方々がやっているような、健康に問題のない人の背中に原液を大量に落とす手技で「ヒーリング」「浄化される」だなんてありえません。少なくとも正式なフランス式のアロマテラピーでは。

それからマルチアロマでは精油の飲用が頻繁に行われているそうで、これも「フランス式」と称している様子です。
確かにフランスで出版されたメディカルアロマの本には飲用について結構出てきます(ナードの処方事典にも存在します)ので、やってたことは事実なんでしょう。でもたぶんそれは一昔か二昔前の話。現在はハーブティーやハーブチンキの方が飲むものとしてはメジャーなはず。

それに原液塗布と同様、精油を飲むことがあっても特定の症状があるごく短期間のみ。よくなれば当然飲用はやめます。日常的に摂取(塗布)するものではないのです。

とあるマルチアロマ愛用者さんのブログで毎晩水にレモン精油を1滴落として飲んで「血液サラサラ~」とか喜んでおられるのを読みましたが、これがマルチさん達の標準的な使い方なんでしょうか。血液サラサラの前に肝臓が危ないのではないかと心配になってしまいますが。

アロママルチのやっているようなことは原液塗布に関しても飲用に関しても、第三者機関(マルチの息がかかっていない)が出したエビデンスはないはずです。利用者が効果があったと思い込むのは自由ですが、きちんとした裏づけはないのです。

また、マルチアロマでは精油の品質について「セラピー等級」とか「メディカルグレード」などの言葉が多くみられます。これらは「自社の基準」に過ぎないのです。客観的に判定している世界基準が存在しているわけじゃありません。

このことは時々うちのbotにツイートさせているのですが、「そうなんですか!知りませんでした!」という反応がかなりありました。で、ああやっぱり素直に信じちゃってる人けっこう多いんだなと。

「当社の精油はメディカルグレードで~」なんて言われたら、そういう精油の品質を調べてくれる第三者的機関が存在していて、そこで「メディカルユース」の判定をもらってる、みたいに錯覚してしまわれるのでしょうね。でもそうじゃないんですよ。
「メディカル」という言葉を使うのに制限はありませんからいくらでも言えてしまうのです。

(すみません。もうちょっと続きます)

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